〝冬子〟
雪深い街に僕は立つ。
子供達をカメラがとらえる。
団子になった子供達の中に〝とうこ〟と呼ばれる女の子がいた。
カメラを携えて〝とうこ〟の家までついて行った。
「冬の子供で冬子って言うの」冬子が言う。
家には冬子の母と兄がいた。
兄は精神疾患を抱えているらしく、母と何かもめていた。
冬子はそれを気にも留めず、私にインスタント珈琲を入れてくれた。
それから7年、私の撮る雪国シリーズはコンクールにも入賞し仕事も舞い込むようになった。
ふと懐かしく思い、冬子の住む街へ向かった。
冬子の家を訪ねる。
母が出て来て、冬子は次の春、写真を勉強するため東京に出るという。
僕は名刺を置いていった。
そして年が明けた春、冬子から連絡があり会うことになった。
8年ぶりに合う冬子は大人になったいた。
昼間、写真の専門学校に行き夜は居酒屋のバイトをしているという。
生活が苦しいらしい。
それならばと一緒に生活しようということになった。
そして、いつの間にか男と女の関係になった。
僕は仕事が忙しくなり留守をしがちになった。
冬子は専門学校で真面目に勉強していた。
そのうち冬子も部屋に帰らないようになった。
いつの間にか出て行ってしまった。
他に良い人でも見つかったか。
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