夕方の兎ドン(夕食の巻)
夕方の兎ドンはソワソワする。
家族にご飯の支度をしないといけないからだ。
昨日はニンジンのグラッセだった。
同じものでは飽きる。
それでは何にしよう。
にんじんは昨日畑から沢山収穫してきた。
人参食べなきゃ。
でもグラッセはだめよ。昨日食べたから。
人参料理、人参料理、人参料理、
兎ドンは呪文のように唱えた。
そして山盛りのニンジンの入った籠の周りをグルグル回った。
はたりと兎ドンは止まった。
「天ぷらにしよう」困った時はてんぷらだ~
兎ドンの気持ちは少しだけ晴れた。
でもニンジンの皮むきすることを考えるとまた気分が落ち込んだ。
兎ドンはもともとめんどくさがりなのだけれど、そのうえ鬱病になってしまったから大変。
楽しく皮むき出来るようにならないかな?
そうだ家族のみんなが美味しそうに天ぷらを食べているところを思い浮かべながら皮むきすればいいんだ。
なんだ簡単な事じゃないか。
と心が晴れた気がした。
それは一瞬だった。
何せ兎ドンは鬱病ですから楽しいことも楽しく感じられなくなるのです。
「誰かにお願いしようかな、皮むき」
皮むきだけお願すればいいのですか?
「全部お願いするとわたしの存在価値がなくなる。」
それでは皮むきも頑張りましょうよ。
「そうですね、頑張ってみます。」
すべてできたら褒めてあげましょう。
「たいしたことではありませんよ」
いいんです。褒めてあげますよ。